2011年度 修士論文・設計

2011年度修士設計

Aleatoric houses -case of shimoochiai-
 都心の均質な住宅地の更新を考える際に住戸間の関係や接道条件の関係に着目した
外部空間を生み出す更新方法を建替えシミュレーションを通して考察する。
 論文編では参考事例から外部を有効に生み出す作品を選出し、構成方法を抽出する。
それを都心の住宅地でケーススタディを行い比較・考察を通し接道条件ごとに有効な住戸構成方法を導きだした。
 それを用い設計編では分析対象敷地で実際に段階的に複数戸の建替えを行う。
角地ではグラウンドレベルより少し高い私的な外部を生み出しながら接道に開く。
住戸間では細街路を含んだ外部を生み出すボリューム配置と視線をコントロールする壁面を用いて安定した外部を生み出し距離感を調停していく。


第10回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展2012 選出作品
text by Masayoshi Kondo


2011年度修士論文

建築を構成する部材の接合手法に関する研究 〜カルロ=スカルパのディテールから見る素材/接合部に関して〜
 北沢 迅
 施行と設計の二つの分野をつなぐものとして接合部に着目し建築形態に影響を与えているような接合部に使われている接合手法や形態について分析を行う。
 本研究ではカルロ=スカルパが設計・改修を行った部材の接合について、以下の3点について行った。
1…一般的な部材に見られる接合との違いについての比較検討
2…部材の構成、接合に関する分析図・工程を用いた考察による独自の接合手法の存在を検証
3…具体的な建築事例を選び、その接合手法の設計手法としての活用について考察
 結果として、比較検討からスカルパの特徴的な接合として
1…部材の組み合わせにより空隙を新たに作る接合 2…形や大きさが多様な金具による部材の裏に金具が隠れない接合 の二つが見られ、
分析図からスカルパの接合部には部材の接合によって空隙を作りだす接合手法すなわち「緩衝的空隙空間を伴う接合手法」と呼べるような手法が存在すると考えられる。
カステルヴェッキオ美術館では「緩衝的空隙空間を伴う接合手法」は視線の誘導や見る方向による対象の不一致やなどの効果が見られ、連鎖的な空間を作っている事が特徴の一つとして抽出された。
そのため接合手法と建築形態と空間操作に一定の関係性がある事が考察された。


2011年度修士論文_若林

『情報技術の進化に伴う分析・設計手法の発展に関する研究 ―地形模型分析と三次元入出力機器を活用した手法を中心として―』
情報技術と建築設計プロセスの関係性の傾向を分析し、今後の発展可能性について検討した。
これまでの傾向:
パラメトリックデザインに見られるような、設計と分析の同時性。
・三次元プリンタ・三次元スキャナを使用した、模型とデータの双方向性。
今後の発展可能性:
・地形模型による分析と、その地形模型上で行う設計の検討。
・三次元プリンタを使用した実空間での模型による検討と、三次元スキャナを使用したデータ空間での図面の検討。
本論文の手法を使用して可能となる事として、複雑な地形を持った敷地の設計を、三次元スキャナと三次元プリンタ、地形模型を使用して容易に検討する事が可能となると考えられる。

文責:若林